小金井市を中心に活動する編集者ユニット、リュエル・スタジオ

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  • こちらでは「き・まま」制作にあたってのこぼれ話やリュエル・スタジオとしての活動の一端をご紹介していきます。本誌を片手に読むと新たな一面が見つけられるかもしれません。


01≫ カメラマンの井上さん

「き・まま」をご覧になった方は、写真の美しさが強く印象に残るだろうと思います。


写真を担当するのは井上茂さん。東小金井在住のカメラマンです。でも、もとからの知り合い、というわけではありません。井上さんと出会ったのは、スタッフのひとりの保育園のPTA仲間に紹介してもらったから。


「近所に上手なカメラマンがいるよ」と名前と連絡先だけ教えてもらい、HPでその作品の一部を見て「この方なら」と思い、スタッフが直接スタジオを訪ねたのです。


いまは第一線を退いたとはいえ、長く雑誌や広告の世界で活躍し、パリコレの写真も撮っていたという井上さんに、実績もない、ろくに資金もない私たちの仕事を引き受けてもらえたのは、幸運としか言いようがありません。「地元のことを何も知らないので、面白そうだな、と思った」のが引き受けてくれた大きな理由らしいです。
そして、
「できるだけお手を煩わせないように、物撮り(小規模な静物を撮影すること)などは自分たちでやりますから」
と言う我々に、井上さんは
「ほかの人の写真が混じるとテイストが変わるので、できれば全部自分にやらせてください」
と言うのです。


小さな物撮りでも、ライティングや構図など、カメラマンの個性によって撮り方が変わります。雑誌の統一性を考えれば、ひとりのカメラマンに全部お願いするのがいいことですが、小さなカットまで撮ろうとしたら、膨大な時間と手間が掛かります。それでも井上さんがやりたい、と言うのには、私たちも驚きましたし、同時に真のプロフェッショナルなカメラマンは、そういうものだ、と知らされました。


そして、実際に撮影をすると、その思いはますます強くなります。
たとえば、創刊号の第2特集「ぶらり、江戸東京たてもの園へ」を撮影するために、何度たてもの園に足を運んだでしょうか。スタッフ全員と撮影に行ったのは2回。それ以外にも、担当の西尾といっしょに休日に出店される屋台を撮影したり、夕涼みだけの撮影に行ったり、と、何度となく井上さんは足を運んでくれています。


30度を越す真夏の撮影にスタッフがすっかりばててしまい、「もうそろそろ終わりにしましょう」と言いだしても、「もうちょっとだけ」と粘るのは井上さん。そうして撮った会心の一枚が、創刊号の29ページの写真です。スタッフもみんな一番気に入っている写真です。


そんなふうに、カメラマンの情熱に動かされて作られたページが「き・まま」にはいくつかあります。どれがそのページか、想像しながら見ていただけると嬉しいです。